初戦で圧倒的な強さを見せつけた阿部(写真左)・山﨑ペア

全日本選手権  於 東京体育館

アベヤマ、元全日本王者に惜敗
 シードで4回戦から登場した阿部恵(教育4年)・山﨑知春(教育4年)ペア。初戦となった森永・福留(愛工大)との一戦は、第1セット序盤から速いリズムで攻撃を仕掛け5-1と大きくリードし、そのまま逃げ切った。

 第2セットは出だしでリードを許すも、山﨑の連続サーブポイントですぐに逆転。一気に10-6と突き放すと、最後はサウスポー阿部が強烈なスマッシュを決めた。自陣右側からフォアハンドでクロスに放ったこのコースは、左利きにとって打ちづらいもの。昨日シングルスで阿部が敗因に挙げた、まさにそのものだった。「(昨日の反省が)頭の中にあった。1本きれいに決まった」(阿部)と勢い付き、3セット目も快勝。笑顔がこぼれた。

 ベスト8決めで立ちはだかったカベは、過去に全日本選手権(以下、全日本)ダブルス3連覇の経験を持つ小林(ファミタク)・西飯(十六銀行)の姉妹ペア。第1セットを9-11、第2セットを13-15と惜しくも落とすも、第3セットは11-2と元チャンプを圧倒した。

 第4セットを8-11で落として敗れたが、「思ったよりもやりづらくなかったし、逆に相手の嫌がることができた」(山﨑)と手応えのあるゲームとなった。


「通用する」――異色ダブルス得た自信
 「チームに監督がいたら、この二人は絶対に組ませないと思う」と笑うのは、高森夕布(教育3年)と加藤唯(史学3年)の同期ペアだ。ペンホルダーで速攻型の高森と、シェイクハンドでカットマンの加藤。「カットマンなら(相方は)普通はカットマンとか、ブロックのうまいシェイクハンドを組ませる」(高森)。関東で一組とも言われるほど、珍しい組み合わせなのだ。

 しかし、この『異色ダブルス』が初の全日本の舞台で快進撃を見せた。1、2回戦をストレートで勝ち上がると、迎えた3回戦の相手は強豪実業団、日立化成の河村・東郷ペア。2セットを奪われてから盛り返してセットオールとし、ファイナルセットは12-10で劇的に勝利を収めた。

 相手の棄権で4回戦を勝ち上がり、福原・照井(早大)戦を迎えた。ペアを組んで1年間、「ずっと出たいと思っていた」(加藤)全日本。「(コートに)入る前は『うわーっ』と思ったけど、緊張はしなかった」(高森)。20台近いテレビカメラが囲むコートの中で、伸び伸びとプレーした。

 試合には敗れたものの、二人の持ち味を存分に発揮して奪った第2セットは収穫だった。加藤が丁寧なカットでチャンスをつくり、浮いた返球を高森が速攻で刺す。型破りなペアでも「通用するんだと思って、自信がついた」(高森)。ベスト16という結果に、「悔いのない試合だった」(加藤)と晴れやかな表情を見せた。
異色ダブルスの加藤(写真手前)・高森ペア


中高ペア復活! 「楽しかった」ベスト16
 秋リーグで優秀選手賞を獲得したルーキーの早田知世(教育1年)は、西(大正大)と組んでダブルスに出場した。

 実はこの二人、中高6年間ペアを組んでいた。それぞれ別の大学に進学したが、今年度の国民体育大会でペアを再結成。今回は全日本に出場するためにもう一度組み、鹿児島予選に挑戦した。結果2位で通過し、『鹿児島代表』で本選出場を果たしたのだ。

 しかし、ペアを組むのが久しぶりだったせいか、調整期間中は「まったくと言ってよいほど調子は悪かった。ボールも全然入らないし」(早田)。だからこそ、「目標は、何もなかった。できることをやろうと話していた」。この、とにかく『自分たちらしく』という気負いのなさが功を奏した。大会が始まると、不調は嘘のように消え去った。「二人で声を出して、ストレス発散!楽しくて楽しくて」。2、3回戦はどちらもフルセットに及ぶ激戦だったが、息の合ったプレーで勝利をもぎ取りベスト16入りを果たした。
鹿児島代表として快進撃を見せた、早田(写真左)・西ペア


『スーパーシード』勝つ難しさ痛感
 一方のシングルスは、4回戦からスーパーシードで山﨑、大槻麻奈(史学4年)が登場したが、山﨑は市川(名経大高蔵高)に、大槻は井上(大正大)にそれぞれ敗れた。「(高校で)やりこんでいるのが分かったし、対応も速かった。いつものパターンにさせてもらえなかった」(山﨑)と、勝ち上がった勢いのある高校生を相手に、圧倒される結果となった。「小さい山から勝ち上がるのも難しいし、スーパーシードでいきなり強い相手と当たるのも大変だと分かった。どっちもどっち…また一からがんばる」(山﨑)と、2月の大阪オープン、3月の東京選手権に向けて再起を誓った。(萌)


◆今日の結果◆
女子シングルス
4回戦(シード)
大槻●0-4○井上(大正大)
山﨑●1-4○市川(名経大高蔵高)

女子ダブルス
4回戦
(シード)阿部・山﨑○3-0●森永・福留(愛工大)
高森・加藤○(棄権勝ち)●山梨・小野(淑徳大)
早田・西(大正大)○3-1●原・植山(愛工大)

5回戦
阿部・山﨑●1-3○小林(ファミタク)・西飯(十六銀行)
高森・加藤●1-3○福原・照井(早大)
早田・西●0-3○藤沼・樋浦(ミキハウス)

◆最終結果◆
女子ダブルス
阿部恵・山﨑知春 ベスト16
高森夕布・加藤唯 ベスト16
早田知世・西明美 ベスト16


阿部コメント
「ダブルスは、まったく何もできずに負けたわけじゃない。だからこそ、研究心が足りなかったと思う。うちらと当たる人は大体みんな(やりづらくて)狂う。それに甘んじてしまっていた。勝ち上がる相手を予想して、データを集めたり、ビデオを観たりしなければいけないと思った。シングルスは完全に技術がなかった。今が一番変われる時期なのかもしれない。普通に練習するのではなく、苦手なコースを100本、1000本入るまでやるとか。好きな卓球だからこそ、勝ちたい。こういう結果を突きつけられて、変わるか変われないかは自分次第。2ヶ月後(東京選手権)にそれが分かると思う」

山﨑コメント
「勝つときも負けるときもある。技術ではなく、精神的なもの。ここで落ち込むのではなく、前向きに考えたい。ダブルスは思ったよりもやりにくくなかった。でも全日本一の巧さがあった。競っても勝てないのが実力の差。シングルスは、高校生はヤングだった。踏み込まれて、速くて、やりこんでいるのが分かったし、対応も速かった。今回はシードが多くて、3種目で4試合しかできなかった。もっと試合をしたかった」

高森コメント
「チャンスがないことはないんだと思った。手応えは十分。ダブルスは2セット目でよい流れをつくったけど、3、4セット目は自分たちが先にミスしてしまったのが敗因。2年生のときからペアを組んで、チャンスがあれば全日本に出たいなと思い、意識しながら調整してきた。珍しい組み合わせは、相手からしたらやりづらい。最初は『大丈夫かな』と思ったけど、やっていくうちにお互いの求めるものが分かってきた。同期だから、気持ち的にも組みやすい。自信もついたし、課題も見つかった。ここからが真剣勝負だから、がんばりたい」

加藤コメント
「楽しかった。3試合目で日立化成の二人に勝ったのは大きかった。普通にやったら、3回戦までは進めるかな、とは思っていたけど、そこに勝って次の試合は相手が棄権。8決めは、もちろん勝ちたかったけど、勝つためには愛ちゃんから3セット取らないといけない。1セット取れたのはうれしかったし、悔いのない試合だった」

早田コメント
「西さん(大正大)とは中高一緒に組んでいた。今大会はうまく噛み合って調子もよく、声を出してストレス発散!だった。とにかく楽しくて、楽しくて。目標は立てず、『できることをしよう、やりたいようにやろう』と話していた。16入りが決まる瞬間はさすがに緊張した。最後競って、手が震えた。ランクに入ったわけじゃないからまあまあだけど、ここまで上がったことがないから嬉しかった」

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