1月30日、「自分の力を試したいという気持ちと良い結果を残したいという気持ちがある。今年初めての試合なので気持ちも新たに頑張りたい」とコメントを残し、アメリカへ飛び立った。  コロラドで2月3・4日に行われたデーブ・シュルツ国際大会。青学レスリング部新主将を務める長谷川が、日本代表としてグレコローマン55㌔級に出場した。コロラドは標高が高く、「すぐ息があがる」という慣れない状況。あらゆる面での『挑戦』となった。  1回戦は世界ジュニア選手権2位のウズベキスタン選手。大会前の各国合同練習で顔見知りになっていたという。1ピリオドは無難に勝ち、2ピリオドは逆にグラウンドで上げられてもっていかれた。3ピリオドは相手が警告を3回受けて失格となったため勝利。「力が強かった。ギリギリ勝てたが危なかった」と素直に相手の力も認める。  2回戦はアジア選手権2位の韓国選手と対戦。1ピリオドはグラウンドで2点を獲得し、相手の攻撃権時に守って勝ちとる。しかし2ピリオドは逆のパターン。1-3で敗れ3ピリオドへ。3-1として勝利した。  続く準決勝は本大会2連覇中の地元アメリカ選手。1ピリオドはグラウンドで返され、先取される。2ピリオドも返されるが長谷川も同じくローリングで反撃し、ラスト2秒で逆転勝ち。3ピリオドでは「相手がバテていたのでスタンドで(点を)取りにいった」。首投げを仕掛けると、同時に相手はそり投げを仕掛けてくる。仕掛けられつつ再び首投げにもっていき、それがきまってフォール勝ち。相手の3連覇をくい止め、優勝に王手をかけた。  決勝の相手は全米チャンピオン。1ピリオドは相手のグラウンド攻撃で上げられてしまう。1点を先制されて臨んだ2ピリオドのグラウンド。相手の攻撃を守り切ったものの、自身の攻撃で点を取ることができず、惜しくも敗れた。  「グラウンドの技術が足りない」と決勝を振り返る。国際大会は日本での試合に比べ、グラウンド時の上げるタイミングがアバウトだったという。日本では笛が鳴るほんのすこし前に上げただけでも注意を受け、やり直しとなる。しかし、国際大会では笛が鳴るより前に上げても、続行した。決勝の相手はそれがうまかったのだ。「タイミングがつかめなかった。これに慣らしていかないと」と日本においては難しい課題に直面した。  「準決勝の相手に勝てば優勝できると思っていた」と肩を落とす。2位は日本選手最高の結果だ。「国際大会で結果を出せたのは大きい」ことは自らも承知。しかし、「でも、優勝したかった…」と必ず付け加えるのだ。  とは言うものの、「いろんな選手とできて楽しかった」と笑顔も見せた。外国人選手の特徴については、「瞬発力と勢いがすごい。はじめから100%力を出してくる。力の配分が100%→50%→0%ぐらい」と分析。「技術がある。グラウンド技術は特にすごいと感じた」。自分に足りないものは「パワーと持久力、瞬発力」だという。  しかし、この大舞台にも「そこまで衝撃はなかった」。前回の国際舞台は世界ジュニア選手権。緊張があり、1勝したものの予選リーグ敗退に終わった。あれから2年の間に、長谷川は国内で著しい成長を見せた。真の『悔しさ』を味わい、そこから真の『学生王者』であるインカレチャンピオンにまで上り詰めた。技術的にも精神的にも大きくなり、挑んだ国際舞台。そこで「世界で戦う自信を得た」という。  一つ一つの大会を確実に力に変え、着実に成長を続けている。今回見つけた課題も克服し、次に試合に立つ時はさらに大きな長谷川を見ることができるだろう。  長谷川は日本レスリング協会強化委員会に将来性を買われ、全日本チーム(各スタイル各階級の全日本王者たち)の合宿に参加することが決まっている。今月15日からは国内合宿、3月からは欧州遠征を行い、ポーランド・オープンとニコラ・ペトロフ国際大会(ブルガリア)に出場する。  国内合宿では「国際舞台で得たものを復習し、基礎体力をつける」ことを目標に、そして欧州遠征では「それを実践したい」という。「世界で勝てても、まだ全日本では優勝できない」と険しい表情。この全日本チームでの経験が、長谷川をどう変えるのか。  3月末、全日本王者との練習や国際経験を確実に自分の力にして、青学レスリング部に戻ってくるだろう。そして国内最初の戦いは、帰国後まもなくの全日本選抜選手権予選会だ。世界レベルの実力を持ち層の厚い日本のグレコ55㌔級で、どこまで戦えるのか。2006年は見所満載。今後も長谷川恒平から、目を離すな。(衣)

長谷川恒平『世界で戦う自信』手に帰国
 ――国際大会での大きな銀メダル

 長谷川恒平(教育3年)が、2年ぶりに国際舞台に立った。結果は2位。世界を相手にしての銀メダルは、見事だ。『長谷川スマイル』を見せる一方で、「悔しい」と言い放つ。内心は「あんまり嬉しくない」のだ。以前国内の学生大会時に口にした「1位以外はいらない」という言葉は、国外でも変わらない。しかし、国際大会でのメダル獲得は、長谷川をまた一回り大きくした――。

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