IMG_5611yfy.JPG

◇第83回全日本選手権大会◇12月26~28日◇ビッグハット◇

 世界選手権への最後の切符をつかんだのは4位で今大会を終えた町田だった。しかし、代表選手のあいさつで町田が言い放ったのは引退宣言と世界選手権の辞退。喜びに沸いていたファンからは驚きの悲鳴ともとれる声が上がる。「今後は早大大学院で研究者を目指す」。突然の発表に会場が混乱する中、町田は颯爽とリンクを後にした。

 引退発表後の会見で「僕の真実であり、伝えたいすべての言葉」として町田は文書を読み上げた。その内容は以下の通り。
「皆様、この度私はこの全日本選手権大会をもちまして、現役の選手を引退することを決断いたしました。近年ではスポーツ選手のセカンドキャリア問題が社会問題となるに至っており、JOCも問題解決に向けアスリートセカンドキャリアサポート事業などに取り組んでいるほどです。私も自分自身の選手引退後のキャリアデザインに苦労した一人です。しかしながら、周囲の方々のご指導のもと、自分自身でセカンドキャリアへの一歩を踏み出せるよう、競技を続ける傍らで文武両道を胸にここまで準備をして参りました。
実は、今シーズン序盤スケートアメリカに出場するためにシカゴへと出発する直前に、私は早稲田大学大学院・スポーツ科学研究科修士課程2年制の一般入試を受験いたしました。その合格が発表されたのはスケートアメリカのショートプログラムが行われる日のことで、文字通り万感の思いで演技をいたしました。
その後もシーズンを通して私は文武両道を志し、今シーズンのプログラムである『ヴァイオリンと管弦楽のための幻想曲』と『第九交響曲』の作品としての完成を目指して周囲の方々の心強いご指導のもと初志貫徹で精進して参りました。そして今大会での自分の演技を終えた結果、私は自分の引退を本当に晴れやかな気持ちで本日12月28日の朝、決断することが出来ました。ご指導いただいている大西勝敬コーチにも本日その意思をお伝えしたところです。約21年間の競技人生でしたが、何も思い残すことなく誇りを胸に、堂々と競技人生に終止符を打てます。これもひとえに関西大学、国際スケート連盟および日本スケート連盟、歴代コーチ、歴代振付師の先生方をはじめ、周囲の方々のご支援、ご指導、また家族の支えがあったからであり、さらには多くのファンの皆様のお心温かい応援があったおかげです。本当に心から感謝を申し上げます。ありがとうございました。
そして、2015年4月より、早稲田大学大学院・スポーツ科学研究科修士課程2年制に入学後は博士課程進学を視野に入れ、将来的には研究者を目指し、一大学院生として精進して参りたいと強く思っております。フィギュアスケートをスポーツマネジメントの領域で考察する研究者として社会から真に必要とされる人材になるべく、真摯に新たな道に歩んでいく所存です。
なお機会を与えていただければのお話ではありますが、今後とも研究活動の一環としてアイスショー等での演技や創作活動を必要最小限の数の舞台において経験させていただきたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。皆様には今後とも静かに見守ってくださいますなら幸いです。重ねて心よりお願い申し上げます。本当にありがとうございました」

 「良いライバル。存在としてすごく大きな選手」(無良=HIROTA)、「最後の最後に爆弾を投下してこの競技生活を去っていく(ことは)樹らしい」(小塚=トヨタ自動車)と世界選手権代表選手の記者会見でも選手たちが町田の引退を惜しむと同時に新たな出発を祝福した。
 独特な言い回しと華麗な演技で人気を集めた町田。文書を読み上げる町田の表情に迷いはなく、堂々としていた。その意思の強さも魅力の一つだろう。しかし、研究の一環としてのアイスショーへの出演も希望している。研究者としてどのような滑りを見せてくれるのか楽しみだ。【庄田汐里】

このページの先頭へ