1月3日、東京ドームに於いてアメリカンフットボール日本選手権決勝(第65回ライスボウル)が行われた。社会人王者のオービックシーガールズに対し関学は前半優位に試合を進める。RB望月麻樹(人3)が先制TD、さらに畑卓志郎(社3)も巧みなランでTDし14―3で試合を折り返した。しかし後半は相手に次々とTDを奪われ、28―38で悔しい敗北となった。これをもって2011年度4年生は引退となった。


◆チーム松岡、ラストゲーム
 堂々たる戦いぶりだった。昨年度、プレーオフで関大に敗北を喫してから始まったチーム松岡の1年間。驚異的な成長を見せた戦士たちのシーズンは、社会人代表・オービックシーガルズに28―38で敗北し幕を閉じた。だが誇り高く戦い抜いた戦士たちに、観客席から割れんばかりの拍手が送られた。

 最後まで気持ちが切れることはなかった。オービックは日本代表を擁したタレント軍団。実力差はあるが、学生らしいスピードと関学伝統の知略で相手をかき回した。まずはK大西(商4)のオンサイドキックで相手の意表を突く。一度攻撃権を失うが、LB池田雄(社2)のインターセプトで攻守交代。ここからQB畑(社3)の冷静なパス、RB陣のランで相手の強固な守備の間を突き前進。開始10分でRB望月(人3)が先制TD(タッチダウン)を決めた。これで流れをつかんだ関学。守備陣もTD圏内に入った相手を封じ込めてFG(フィールドゴール)に追いやった。畑のランTDで追加点を得て14―3で前半を折り返した。
 「前半リードできたのは意外だったが、いつでも逆転される危機感をもっていた」と主将・松岡正(経4)が語るように、戦士たちは至って冷静だった。だが、後半に入ると徐々に地力の差が出始める。第3QにオービックのエースQB・菅原の放つパスでTD。関学は大西のFGが決まり、17―11でリードを守って最終Qへと突入。しかし、ここから菅原を核とした猛攻でオービックに攻め入られてしまう。第4Q開始早々TDを決められ逆転。大西のFGで点を返したが、3連続でTDを決められ点差がいきなり開いてしまった。残り時間約2分。20―38と追い込まれてもなお、戦士たちは不屈の精神で勝利を追い続けた。
 最後の攻撃シリーズ。QB糟谷(人4)のパス、ランで一気にゴール前まで攻め上がった。そしてWR南本(商3)へのパスTDが成功。同じプレーで2ポイントコンバージョンを成功させ、28―38。この時残り時間は約50秒。大西のオンサイドキックも相手に抑えられ、攻撃権はオービックに。そのまま時間を消費され、ゲームクロックが0を指した。
 社会人王者を追い詰めたものの勝利はできなかった。だが、最後まで堂々と戦い抜いた戦士たちに大きな拍手が送られた。「ALL GRIT」をスローガンに掲げ、最後の大舞台でそれを体現したチーム松岡。東京ドームを埋めた観客を見て主将は「みんなに愛されるチームを目指してきた。今日、愛されるチームになれたかなと思う」。
 彼らの戦いがこんなにも観客の胸を熱くさせたのは、松岡主将らの「気持ち」が観る者に伝わるほど強く、熱かったからに違いない。
(記事=浜出麻央)



◆日本一のシーガルズ攻撃陣に 青き盾、奮闘
 ファイターズのプレーに迷いはなかった。QB菅原、RB古谷、そして「NFLに最も近い男」木下典明を筆頭とする最強WR陣など数多くの日本代表が所属する社会人王者・オービック。その攻撃陣を前に関学守備陣は臆することなく立ち向かい前半を1FG(フィールドゴール)に抑えた。
 前半の流れを引き込んだのはオービックの最初の攻撃シリーズ。菅原から放たれたパスをLB池田雄(社2)がインターセプト。先制TDにつなげた。さらに東京ドームを沸かせたのは第2Q、ゴール前1ヤードまで攻め込まれるピンチを迎える。しかし、ランで押し込むシーガルズをDB重田(文4)、DL長島(商4)が強烈なロスタックルを連続で決め、FGへと追いやった。
 畑のTDランで14―3とした前半の終盤にはDL佐藤(経4)が連続でサックをQB菅原に見舞う。スタメンではないものの、今季のファイターズDLを常に支え続けてきた男が関学の勢いを加速させる。
 体格、技術で勝る社会人を相手に関学は集まりの速さ、粘り強さで対抗し続けた。第3Qまでリードを守ったが、日本最強のシーガルズ攻撃陣の猛攻によりジリジリと差を詰められ、最終Qでついに逆転され、28―38で力尽きた。
 この敗北に満足するものは一人もいない。しかし、関学の守備陣の奮闘がなければここまでの健闘はあり得なかった。下級生が多く出場するディフェンスメンバーはこの悔しさを胸にさらなる成長を遂げ、来年こそ東京ドームで関学に日本一をもたらしてくれるはずだ。
(記事=清水翔太)


◆2012チーム始動、新たな誓い
 「絶対来年もここに来て、日本一になろう!」。28―38で日本一の座をオービックに譲ることとなったファイターズ。この敗北から2012シーズンは幕を開ける。

 負けてなお、不屈の闘志をたぎらせる男たちがいた。今シーズン最後の試合を終えた2011ファイターズの中で、真っ先にフィールドを降りてハドルを行ったのは3年生。満足げな表情の者は誰もおらず、涙をすする音が廊下に響いた。「4年生がここまで連れて来てくれたのに負けた。負けたのは俺らのせいや」。ハドルの中心にいたのはDLとして1年間フィールドに立ち続けた梶原誠人(商3)。「今年めっちゃやったつもりやった。でも、勝てんかった。まだ足りんかったってことや」。最終Q、一挙27点を決められた。日本代表やNFLヨーロッパ経験選手らのパフォーマンスに太刀打ちできなかった悔しさが込み上げた。「絶対来年もここに来て、日本一になろう。今の4年生やOBを喜ばせよう。みんなで笑って終わろう」。新チームを担う若き戦士たちは涙の誓いを立てた。
 今年の3年生には梶原誠をはじめ、LB川端(人3)やOL和田将(社3)、TE金本(商3)など下級生時よりスターターを務めるメンバーが多い。WRには小山(社3)、南本(商3)。DBには高(人3)や保宗(商3)がおり、4年生が抜けた穴を埋めるだけの戦力は揃っている。今季ブレイクしたパワーランナー望月(人3)もSB2年目を迎える。そして何よりも今季エースQBとして日本一への原動力となった畑(社3)。スターター2年目のさらなる成長に期待だ。
 学生日本一になったのではない。学生日本一に終わったのだ。ファイターズ史上2度目の日本一へ向け、新チームが始動する。
(記事=浜出麻央)



試合後のコメント
鳥内監督「相手のゴール前での攻撃の時もディフェンスが頑張ってくれてた。相手は強いのはわかっていたが、4thダウンの時にパントじゃなくてもっと行けと言えばよかった。選手たちはよくやってくれた」
主将・松岡正樹(経4)「やはりすごく強かった。後半流れを取り戻そうと思ったが力が足りなかった。主将を務めた1年間、色々あったけれど楽しかったです。その反面今日負けて悔しい。ファンの方には本当に感謝しています。こんな遠いところにもたくさん来てくださって後押しになりましたし、幸せでした。後悔はあるけれど、今は『やりきった』という気持ちです」

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