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195号1面より(2007/4/3発行) 水上競技部競泳パート
つかみとった進化の証 高岡V2

 関学競泳陣が好調なスタートを切った。背泳ぎで2冠を獲得した高岡幸恵(商4)を筆頭に、多くの選手が入賞や自己ベスト更新を達成。個々の成長が見られる大会となった。

待望の春

栄光に突き進む高岡.jpg  まだ春も浅い3月4日。肌寒い風が吹く屋外とは対照的に、息苦しいほどの熱気と大歓声に包まれる高槻市民プール。そこには例年になく苦戦を強いられる関学の姿があった。この日は有力選手が他大会出場のために欠場。また今大会へのエントリー選手の多くも、体調不良やけがに見舞われていた。このため入賞はするものの、優勝には一歩届かない選手が続く。優勝候補の高岡に期待が集まるのは必然のことだった。

 100㍍背泳ぎ。高岡は静かに最終組4コースのスタート位置に着いた。そこはエントリータイムが最速のスイマーにのみ許される聖域。実力で彼女を上回る者はいない。彼女が目指すのは自己ベストの更新だけだ。「位置に着いて|」。レース中は決して途切れない声援もこの時だけは鳴り止み、場内には一瞬の静寂が訪れる。そしてスタートの合図と同時に、高岡はその静寂を切り裂くように勢いよく飛び出した。潜水から浮上して一かき目。この瞬間、後に起こる快挙への確かな手応えを感じる。序盤からトップ争いを演じると、最後の25㍍は3コース・武庫女大の中谷との一騎打ちとなった。二人は横一直線。実力伯仲の戦いに会場全体が引き込まれる。そのまま、ほぼ同時にゴールイン。1着になったのは|。会場の全視線が電光掲示板へと向けられる。「1着・4コース」。狙い通りの自己ベストで、今大会初優勝を飾った。

 続いて、自信を胸に得意の200㍍背泳ぎに挑む。高岡は前半を抑えて入り、力を温存する。中盤で頭一つ抜け出すと、徐々に後続との差を広げていった。そして他を寄せ付けぬまま、誰よりも速くフィニッシュ。圧巻のレースにスタンドは盛り上がる。さらにタイムが表示されると、ひときわ大きなどよめきが起こった。2分13秒29は大会新記録。おまけに最高峰である日本選手権出場への標準記録をも突破した。ずっとあこがれてきた大会への出場決定。この最高の結果に、彼女は喜びを爆発させた。

 わずか1、2分ほどのレース。だが、悲願達成までには長い冬の時期があった。高岡は2年前の同大会での優勝後、スランプに陥ったのだ。タイムが伸び悩み、悔しい思いが募る。学生一を決める日本学生選手権の決勝レースも、ただ観ることしかできなかった。「自分も決勝で泳ぎたい」。オフがあけると、彼女の挑戦が始まった。100分の1秒を争う競泳の世界。その一瞬の速さを手に入れるためにフォームを改善し、これまで以上に練習に励んだ。そしてついに、短水路では高校3年生次以来の200㍍自己ベスト更新を果たした。こうして、まだ肌寒さの残るこの日、彼女に待望の春が訪れた。

ステップ

 レースを終えた高岡に、チームメイトが駆け寄った。彼らは高岡に絶大な信頼を寄せている。それはパートリーダーとして皆の成長を願い、練習メニュー作りに奮闘する彼女の姿を知っているからだ。そして高岡の試行錯誤は実り、自身をはじめとして多数の自己ベスト更新者が出た。今大会をステップにして、夏の関西学生選手権、さらには日本学生選手権での飛躍|。高岡、そしてチームはその目標に向けて底上げを図り、着々と力を蓄えつつある。青写真は完成済み。あとはそれを体現するだけだ。 (藤本加奈子)