【プロフィル(関学スポーツ159号掲載参考)】有馬隼人(ありま・はやと)。商卒。1977年10月29日生まれ。箕面高校出身。QB。4年生次、エースQBとして学生日本一に輝く。現在はXリーグ・アサヒビールシルバースターズのQBとして活躍中。
伝説となれ!!
関学が誇るエースQB有馬隼人。彼なくして今年のファイターズは語れない。11TDパスを生み出した左腕は多くのドラマを演出し、我々を魅了してくれた。しかしチームを甲子園に導き、自らもMVPに輝いたこの男もエースQBへの道は遠かった。
18歳の秋—。有馬は一年生ながらスターターQBとして開幕戦にデビュー。高校時代オールジャパンとして名を馳せた男にふさわしいスタートとなる。「周囲の期待も気にならなかった」と言う大物ぶりに誰もがスターQBの誕生を確信した。しかしそれからの有馬を待ち受けていたのは屈辱の連続。試行錯誤を繰り返すもプレーにつながらず、試合に出ることすらできない。後輩QBが出場しているのをただサイドから眺め、有馬は出口の見えないトンネルを彷徨い続けていた。
悩み続けて二年、四年生になった有馬は突如模索することをやめた。「思いっきりやって結果は待つしかない」この開き直りが彼を救い、Xリーグ強豪のアサヒ飲料戦を迎える。QB岡村の負傷退場で巡ってきた復活のチャンス。突然の出場にも有馬は冷静さを失わず素晴らしいプレーをみせる。試合は関学の圧勝。有馬あっての勝利だった。「あの試合でゴーサインが出せた」と振り返る有馬。自信を取り戻した天才の目に、もはや迷いはなかった。
エースQBの座を不動のものとした有馬は、シーズン初戦から司令塔としての役割を遺憾なく発揮。そしてこの一年抱き続けた“倒したい”いう思いをぶつけるべく立命戦に臨む。ところが第2Q、有馬は脳震とうを起こしまさかの退場。プレーできる状態であったが、過去に同じ状況で続行しゲームを壊した苦い経験から自ら退場を申し出た。試合に出たい気持ちよりチームの勝利—後輩QBを真剣にみつめるその姿に最高学年としての自覚が窺える。勝利の瞬間、有馬は泣いた。苦
しんだ時を思うと溢れ出る涙を押さえられなかった。
そして有馬は、初めて甲子園の舞台に立つ。「ロングパスを見てほしい」と語る彼は必ず後世に残るTDパスを決めてくれる。その瞬間、有馬は甲子園の新たな伝説となるのだ。(159号6面掲載)