関関戦

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関関戦 プレイバック

関関戦号外(表)  吹き荒れる千の風によって、月の光はその輝きを失った。伝統の関関戦。敵地での戦いを終えた関学が上ヶ原に持ち帰ったのは〝敗北〟の二文字だった。

2年分のフラストレーション。

 空白の時間を埋めるための戦い。昨年の中止から大会の時間は止まったままだった。「2年分勝つ」。体育会本部長・井上俊平(文4)が言い放った台詞は、31回目を迎えた一戦への思いを存分に表していた。

 3月のスキー競技部を皮切りに、関関戦前哨戦は幕を開ける。大方の計算通りに星取り表は埋められていく。航空部7年ぶり勝利の吉報や、弓道部敗北の悲報は予想外だったがそれも総合関関戦には付き物。8勝7敗1分、関学の一歩リードで前哨戦を終えた。数字だけ見れば優勢。だがどこか浮かばれない。ラグビー部が白星を収めた晩、一人が口にした。「関大のやつら、ほんまに悔しそうやった。負けて泣いててん」。ライバルのその姿が意味するものを関学が知るのは後になる。勝敗とは別のそれを―。

 こうして千里山で開戦の時を迎えた。「おめぇら、ぜってぇ勝てよ」。本番直前に井上のげきが飛ぶ。本戦の競技を見れば、関学にとって厳しい戦いとなるのは明確。だからこそ本部長が鼓舞する。だが、その声は選手たちのプレーを後押しするには至らない。サッカー部の衝撃的な逆転負けが呼び水となり、期待を裏切る黒星が連なる。初日で勝敗が反転すると、そこから負の連鎖が始まった。勝利が確実視されていた部も引き分けに終わるなど、流れは関大に。「これ以上ないくらい強い思いで相手は戦っている」。そう気付いた時には、すでに遅し。劣勢を覆す術さえ繰り出せぬまま競技数は重ねられた。

具現化されなかった、勝利への執念。

 負けたくない。けれども、絶対に勝ちにいくという姿勢ではなかった。「技術うんぬんではなく、気持ちの差」。井上の吐露した言葉がすべてを物語っていた。大会に臨む姿勢そのものが問われた今大会。最終的には12勝20敗4分の完敗に終わる。新月に満ちたのは、光ではなく、ただ屈辱の思いであった。
(号外掲載分/一部改編)

関関戦号外(裏)
疾戦と苦戦/関関戦号外裏面

○【相撲部】 3—0/ 記事
○【陸上ホッケー部】 8ー1/ 記事
●【バスケットボール女子】 62ー64/ 記事
●【サッカー部】 4ー5/ 記事
●【拳法部】 3ー4/ 記事

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関関戦プレイバック

 日も落ちた。大勢のアスリートでにぎわった千里の地も、祭りの後のようにおだやかなものになっている。関西大学東体育館。関学体育会本部の控え室はそこに置かれていた。一大イベントを終え、しばらくの間ミーティングが行われる。そしてドアが開く。体育会本部長・井上俊平(文4)が姿を現した。交錯する無念と悔しさがその顔に映る。
 井上が口を開くまで時間を擁した。やがて、トップとしての役目を果たせなかったという思いを真っ先に吐き出した。

 「勝ちにいく雰囲気を作れなかった。体育会員のモチベーションを高めるためにできることが他にあったはず。」

 本部長として、体育会を鼓舞するのは当然なのだろう。開会式で見せた、対する関大本部長とは相反する激励の言葉から十分に見て取れる。「おめぇら、ぜってぇ勝てよ」。井上はいつもの、独自の言い回しで闘争心をかきたてようとした。結局はそれは選手たちの胸には届かなかった。だからといって、それだけが今回の敗北の原因ではない。アスリートたちに闘争心の火種があったかには疑問が残る。

 「技術うんぬんの問題じゃなくて、思いの部分で負けた。」

 敗因の一つに挙げたそのことを井上が気づいたのは、本戦2日目の庭球部が雨天で延期になったときだったように思える。その後に、アイスホッケー部の会場に駆けつけた彼が開口一番に放った台詞はまさに「あいつらの気持ち、半端ないよ」だった。勝ち駒に数えられるはずの庭球部がこの時点では引き分け。ホームアドバンテージがささやかれる声もあったが、井上の目には気持ちの差が映っていたのだろう。

 その翌日、行われた競技において、関学は黒星を重ねることとなる。結果は、言うまでもない。

 「ひとつの試合に過ぎなかった。関関戦をもっと大事に考えて臨めば、結果は変わっていた。気持ちは一瞬で変わるもんなんだよ。その気持ちで負けたんだ。」

 スポーツの世界には、鍛え上げられた技術さえも、ワンプレーに懸ける思いが上回ることがしばしある。現に、勝利した選手の口からは度々聞かれるものだ。気持ちの差で勝ちました、と。今回の関関戦はまさにそうだった。

 取材を終え、その場を去る井上は最後にこう口にした。

 「これからの試合で、それが出ることがないよう願っている。」

 結果が問われる、勝負の世界。男は何よりも関学体育会の勝利を願っている。それは誰よりも。
(取材・文/坂口功将)