第10回は、秋リーグでも活躍中の若手QB加藤さんを取り上げます。
加藤翔平
まだ2年生ながら試合で落ち着いたプレーを見せているのが、加藤翔平だ。中学では野球をやっていた彼。だが、「打つのがあまり好きじゃなかったんで、新しいのをやろうかなと」。高校受験前、友だちが読んでいたアメフト漫画がきっかけで、アメフト部に入部した。
県立高校だったので、部員数はそれほど多くなかった。ポジションはQBが与えられた。彼にとってのQBの魅力は「パスが投げられるところ」。基本を大事にする、ということを常に意識して普段の練習や試合に取り組んでいる。実直なプレースタイルの基盤には、「投げるのが好き」というシンプルな思いがあった。
彼にとって高校時代の忘れられない試合が、関学戦。高校1年生の秋、決勝リーグで対戦した。当時、並外れた強さを誇った関学高等部の攻撃陣は、QB・加納友輔が率いていた。試合結果は0—76。「悔しいのを通り越して、情けなかった。引退せずに残ってくれた3年生の先輩と一緒に勝ちたかった」と当時を振り返る加藤。進路を考え始めるころには、スポーツ推薦の話もいくつか舞い込んでいた。その中には関学からの誘いもあったが、断ったという。その理由が「秋リーグで関学に勝つ前にファイターズへの入部を決めたくなかった。それに大学を関学に決めると、もう関学には勝てなくなるから」。彼は関学に相当な対抗意識を持っていたのだ。
だが、入試を終えた去年の春、結局彼はファイターズの一員となった。背中を押してくれたのは、「QBのクオリティーは関学が断然高い」という高校時のコーチの言葉。入部してみると、やはり強いだけあってシステムが違うという印象を受けたという。だが、その分練習時間は短く、加えて自分の練習できる時間も限られている。だから無駄にできない、そこで自分を見せないと試合には出られない—。だから、彼は「練習の中でどれだけ試合をイメージできるか」を常に意識し、取り組んでいる。筋トレのときも、鍛える部分がわからないときはトレーナーに聞き、そしてその部分を意識しながら取り組むという。真面目な姿勢は着実に彼の力を伸ばしていることだろう。
また、現在QBパートには加納も在籍している。ライバル校のQBから、チームメイトへと変わった加納について「とにかく高校の衝撃が強かったから、加納さんを目標に頑張ってきた。尊敬する選手だし、今はライバルでもありますね」。また、彼は試合ではQBの2枚目として、加納の次に控える立場でもある。「加納さんがいるとき、僕が試合に出られるのは安全圏か、負傷交代のときのみ。スタンドから『加納が怪我して負けた』とは言われたくない。だから、QBのうち誰が出ても関学は強いと思われるように努力してます」と話した。真面目さに加えて負けん気も合わせ持つ彼は、すでにファイターズにとって不可欠の存在となっている。
秋リーグの残り試合はわずか。強豪校ばかりがひしめいているが、弱気な姿勢はかけらも見せない。「1試合1試合、成長しないと先はない。普段からどれだけ試合を意識して取り組めるかにかかっています」と同時に、「今年も関学は日本一になります!」と宣言してくれた。まだまだ成長するであろう2年生QBの活躍、お見逃しなく!
■加藤翔平(かとう・しょうへい)。社会学部2年生。星陵高校出身。QB(クォーターバック)。184㌢、80㌔。
(企画:アメリカンフットボール部&編集部 取材・制作:宮本悠乃/佐藤潤優/松元千明/岡崎心)