第11回は、LB吉川さんを取り上げます。
吉川直佑
取材を始める前から「本当に、取材を受けるのが自分でいいんですか?」と謙虚な姿勢の彼。今シーズンはまだ、控え選手の吉川。今まで最前線で活躍している選手を取り上げていることもあり、彼は引け目を感じていた。しかし吉川のアメフトに対する真面目さは、チームの誰しもが知っている。こんな彼だが、今までけがで試合に出られない時期が多かった。去年の甲子園ボウルは開始5分でけがをし、それ以降試合に出場できなかった悔しい思いもしている。しかし彼はどんな苦しい状況下でも、今の自分に出来る最善を尽くしていた。そんな彼だからこそ周りからの信頼も厚いのだろう。
吉川のアメフト人生が始まったのは関学中学部からだ。ファイターズの甲子園ボウルの試合を見たことがきっかけだという。彼が関学の名を背負ってプレーするのは、今年で9年目になる。関学の練習スタイルは短時間集中。この方法は中学部時代からだ。練習時間が短いとなると、自主トレーニングが鍵となってくる。吉川は持ち合わせた身体能力の高さに加え、真面目にトレーニングに励んだ。足の速さを生かし、中学部時代もポジションはLB(ラインバッカー)で活躍した。努力できる天才、才能もあったが吉川はそれ以上に努力で実力をつけていく。そして、高等部時代は副将を務めるまでになった。その時の主将は三井良太(法3)。現在はマネージャーとして活躍中である。「三井は本当にすごかった。小柄な体型なのに、プレーは上手く、頭もきれて、高校時代は関西敵なしだった」と自分以外のことになると、さっきと一転して饒舌になる吉川。新体制で挑んだ高校3年、春の試合において吉川たちは0-35で関西大倉高校に大敗。今までの先輩は華々しい成績を残していた。だから吉川たちも、自分たちの代でも良い成績を残して終えたいという気持ちが強かった。そのため、夏休みから猛練習と意識改革を始めた。そして、惨敗した関西大倉に秋には勝つことができたのだ。「三井がいなかったら、チームは成り立たなかった」と話すほど、吉川にとって三井は重要な存在だ。それは大学生になった今も変わらない。けがで落ち込んだ時には三井に相談することもあるという。逆に三井にとっても吉川は大事な存在だ。「高校の時、もし吉川が副将でなければ一年間自分が主将を勤めることもできなかった」と三井は語ってくれた。また三井は「吉川は副将をやっていた時から、リーダーシップと責任感があったので、これからはチームのリーダー的存在になる一人だと思っている」と。ファイターズでは、控えの選手でも自分の姿勢次第でチームの一員として貢献できるのだ。
吉川のポジションはLB、副将・深川やLBリーダー・坂戸がいる。この2人は試合を盛り上げている、注目選手だ。吉川にとって、尊敬する先輩でもあり、ライバルでもある。「2人はすごいけど、自分にもチャンスはあると思う。いつでも試合に出る準備はできている」と語る彼。この言葉に見合う日々の努力は十分にしているのだろう。
どんなことに対しても人一倍真面目に取り組んでいる吉川。これから、間違えなくすごい選手になるはずだ。最後に吉川は「けがをしていたってやることはたくさんある、それを自分で見つけ、モチベーションを下げないことが大事だと思う。これまでいろいろあったけど今度は花開いてやります!」と心強く答えてくれた。
■吉川直佑。(きっかわ・なおすけ)。商学部3年。関西学院高。LB(ラインバッカー)172㌢、80㌔。
(企画:アメリカンフットボール部&編集部 取材・制作:宮本悠乃/佐藤潤優/松元千明/岡崎心)