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連載企画「日本一への挑戦 〜戦士たちの軌跡〜」の最後を飾るのは、現在DBで活躍中の徳井啓介さんです。

徳井啓介
徳井啓介

 最後の砦としてDB(ディフェンスバック)というポジションにつき、その役割を果たしている徳井。ディフェンスはオフェンスと比べて、試合中のプレーが目立ちにくい。しかし彼はインターセプトなどのビッグプレーを見せ、その1プレーで試合を大きく動かす。まさにゲームメイカーと言っても過言ではないだろう。

 徳井がアメフトを始めたのは高等部に入ってからである。小・中学生までは、野球に打ち込んでいた。だが、野球を続けることには限界を感じており、「何か新しいスポーツを始めたい」と心機一転。関学高等部はアメフトが強く、その魅力に惹かれて徳井はアメフトという新たなスポーツに足を踏み入れたのだ。新しい物事を始めるには不安はつきものだが、彼は違った。中学部からタッチフットをしている人に対して悔しい思いはあったが、不安はなかったと言う。やればやるだけ結果が出ることが分かり、次第にその差は感じられなくなった。初めはTE(タイトエンド)を経験し、それからWR(ワイドレシーバー)に。高校2年生の時から大学2年生まではずっとWRとしてプレーをしていた。しかし、大学3年生の時に転機が訪れる。DBへのコンバートだ。徳井は「不安はあったが、楽天家なのでやってやろうという気持ちになった」と当時を振り返った。その言葉通り、彼はすぐにスタメンで試合に出場。DBとしての彼の存在は瞬く間に定着した。

 DBは責任が大きい。特にセーフティーというポジションはディフェンスの一番後ろについており、抜かれると失点につながる。反対に、止めることができたら失点はない。また自分より前にいる選手のミスはカバーできるが、自分たちのミスは誰もカバーできないという点でもプレッシャーはかかってくる。そんなポジションに位置する彼の持ち味は、スピードである。それは足の速さだけではなく、瞬時に判断してボールへ寄る速さも同様に言える。その速さが生かされ、インターセプトのようなビッグプレーが生まれるのだ。

 決まっているプレーを実践する任務遂行型のオフェンスに対し、判断力と臨機応変に対応していく動きが要求されるディフェンス。どちらも経験のある徳井は、準備したことを適確に実践するオフェンスよりも、自分に与えられた責任の中で最大限の動きをしないと相手のプレーを止められないディフェンスの方が面白いと言う。DBは相手のプレーに対する判断力の速さ、また常にDL(ディフェンスライン)・LB(ラインバッカー)の動きを把握し、アジャストするために効率的なプレーを求められる。WRは目立つポジションではあったが、与えられたことをやるという面があり、面白みを感じなくなっていた。一方DBは自分で考える面の方が大きい。徳井はそこにとても魅力を感じている。そして、今では彼の存在はチームに欠かせないものとなっているのだ。

 徳井は現在、DBのパートリーダーとして17人をまとめている。選手も十人十色。そのため、一人ひとりに合わせて指導方法を変えることを意識しているという。選手自身に考えさせることもあれば、時には厳しく接する。「17人をまとめることは大変」と語った彼だが、選手とのコミュニケーションはとても大事にしている。どんな練習をしたいのか、今何が足りないのかを下級生に問うことも欠かさない。ただ単にやっている人よりもどん欲にやっている人の方が上手くなるし、そういう人材がいることでチームの勝利にもつながる。何も考えずにやっているだけでは何もつかめない。向上心をもって、分からないことは素直に「教えてください」といえる人が成長できるのだと彼は語る。ファイターズは4年生が雑用から全てにおいて、率先して動いていく集団。4年生が上に立つ者だからこそやらなければいけないことがある。この集団では学年を問わず、みなフランクな関係が築けている。そのため、お互いに指摘し合えるいい環境がここには存在している。「1、2年生の時はまだ自分のことで精一杯でいいと思うが、4年生に近づくにつれてチームについて考えていってほしい」と語る徳井。彼自身も4年生になるにあたって大きな不安を抱えていた。だが、一緒に戦っている仲間がそこにはいる—。彼自身の意識は「やらなあかん」から「自分からやる」へと次第に変わっていったのだ。

 今年はファイターズでプレーできる最後の年。彼は「今年はディフェンスで勝ちたい。粘りのある、攻めるディフェンスを見せたい」と意気込んでいる。また下級生には「自分の持っているものを伝えていきたい。それはなかなか難しいことだけど、プレーだけでなく気持ちも見せていきたい」と熱い思いを語った。「気持ちのこもったタックルを見といて下さい」。守りの最後の砦、今季も徳井の熱闘に注目だ。


■徳井啓介(とくい・けいすけ)。総合政策学部4年生。関西学院高等部出身。DB(ディフェンスバック)。178㌢、71㌔。

(企画:アメリカンフットボール部&編集部 取材・制作:宮本悠乃/佐藤潤優/松元千明/岡崎心)