第3回目は副将であり、DEF陣の最後の砦であるDB深川匠さんを取り上げます。
深川 匠
「アメフトの申し子」と周りからもてはやされる深川。物心がついた時にはもうすでに、家族でファイターズの観戦をしていた。少年時代に誰もが父親と一緒にキャッチボールをするように、深川は、父とフットボールを投げ合って遊んだ。深川の父も学生時代はファイターズのLBとして活躍。父親が活躍した試合のビデオを見て、自分もファイターズで活躍したいと思いをはせるようになった。
深川が本格的にアメフトを始めたのは、小学校高学年から。高校もアメフト名門高である、関西大倉高校に入った。高校3年間、主将・早川も同じチームで戦っていた。QB加納が率いる関西学院高等部との試合が引退試合となった。この時、関学のチーム構成の精密さを目の当たりにした深川。そして大学進学を果たし、ついに、彼は父と同じユニホームに袖を通すことになったのだ。「高校時代の最大のライバルと同じチームでできることはすごく心強い」。QB加納やDB徳井たちがチームメイトになり、甲子園への夢が近づいていった。
そして、迎えた2007年12月16日。28年前に父が甲子園出場を果たしたように、深川も甲子園の舞台に足を踏み入れた。運命の巡り合わせか、父の借りを返せと言わんばかりに対戦相手は日大。その上、父の対戦相手の息子がいた。観客は待ちに待った、青と赤の戦いと親子二代対決を騒ぎたてた。そんな世間と裏腹に、「WR秋山を意識するのではなく、日大と試合ができるという事実がうれしかった」と語る彼。その言葉どおり、1プレー1プレー集中し、勝利をつかんだ。その夜深川は、いつもはアメフトについてあまり語り合わない父に、この時ばかりに自慢したと笑顔で語った。

父を越え、学生日本一をつかんだ深川に残る目標は、社会人を倒して日本一へと輝くことだ。間近に迫る日大0戦と松下電工戦は、秋の本番を占う重要な戦いとなる。勝ちたい気持ちは誰よりも強い。その源は、ファイターズが好きだ、アメフトが好きだ、と言う純粋な気持ちからなっている。好きだからこそ、このチームで勝ちたいという思いが増してくる。「幸運は大胆に見方する」が彼のモットーである。この言葉通り、チャンスを生かし、大胆なプレーを見せてくれるだろう。彼がフィールドに立てば、何かが起こる。なぜか彼にはそう思わせる力がある。きっとそれは、誰よりもアメフトに親しみ、知り尽くした深川だからこそ持てる何かなのだろう。
あの時、観客席で青き戦士を目で追いかけていた少年は今、自らフィールドに立ち、ファイターズを『日本一』と導いている。
■深川匠(ふかがわ・たくみ)。文学部4回生。関西大倉高校出身。DB(ディフェンスバック)。174㌢74㌔。
(企画:アメリカンフットボール部&編集部 取材・制作:宮本悠乃/佐藤潤優/松元千明)