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陸上部キカク「荻田×我孫子」

 全日本インカレにおいて、男女ともに関西勢が制した棒高跳。男子は荻田大樹(関学)、女子は我孫子智美(同志社大)が優勝した。2人は同学年であり、ともに日本学生記録保持者でもある。大学は違えども、関西の大学陸上界を引っ張っていく存在だ。

 関西勢アベック優勝を記念しての、関学スポーツと同志社スポーツアトム編集局の共同企画。今までの戦歴、全日本インカレ、今後の目標、そして互いへのエールを聞かせて頂きました。頂点に立った2人に迫ります!


荻田プロフィル 我孫子プロフィル

荻田P
荻田

 陸上競技の名門である観音寺第一高で、高校生次から活躍を見せていた荻田。2年生次に香川室内跳躍記録会で5㍍12の自己ベストを打ち出すと、3年生次にはインターハイで3位入賞を果たす。また、日本ジュニアでは準優勝。さらに、国体では見事頂点に輝いた。大学入学後、彼はすぐにその頭角を現す。1年生次の全日本インカレで、3位に入賞。その後、日本ジュニアでは堂々の優勝をつかんだ。また、2、3年次には2年連続の関西制覇。さらに3年生次の関西インカレでは5㍍56の日本学生新記録を樹立し、陸上界を騒がせる存在となった。

実力者の貫禄

 そして、3年生次の全日本インカレ。彼は、大学棒高跳界の頂点に立った。荻田の世代は、強豪がひしめきあっている。記録の生み出しあい、抜きつ抜かれつの跳躍ダービー。今大会も予想通りの混戦となった。

 天候は良かったものの、風は選手たちを味方してはくれなかった。記録を狙っていた荻田にとって、不都合な条件。そんな中、彼は5㍍30の高さでピットに姿を現した。この時点で29人中残るは5人のみだ。全日本の舞台で挑む1本目。彼の体は、その実力の高さを見せつけるかのように高く宙を舞った。惜しくも1回目の試技は失敗するも、2回目にはクリア。5㍍40も決め、5㍍50に挑んだ。だが、向かい風に阻まれ、この高さを3回とも失敗。同じく失敗した笹瀬弘樹(早大)とのジャンプオフ(順位決定戦)を行うことに。緊張が走る頂上決戦。そんな中、この戦いを制したのは荻田だった。1、2年生次には、健闘を見せながらも3位に納まっていた彼。3年目の正直。国立競技場のピットで、荻田は貫禄の勝利を勝ち取った。

世界の荻田へ

「ロンドンオリンピック」。学生界の頂点に立った彼は、目標をオリンピックに定めている。4年後には、世界を舞台に空高く舞う彼の姿があるかもしれない。(松永祐美)


我孫子P
我孫子

 「我孫子智美」同志社大学在中の20歳。棒高跳界で、彼女の名を知らぬ者はいない。学生記録4度更新、世界ジュニア7位、日本選手権優勝———。そして今秋、新たなる称号「全カレ3連覇」をかけて、国立の地に立った。

新たなる挑戦

 大会も大詰めとなった3日目。朝から降り続いた霧雨は、昼前の時点で嘘の様に晴れ渡っていた。「今日は記録を出して、世界選手権までのステップにしたい」(田尻監督)。6月の日本選手権、優勝はしたものの世界B標準記録には及ばなかった。「次こそ世界の舞台へ」(我孫子)。夏休みには、走り、跳躍共に強化練を加え、体を絞りこんできた。

 試合開始から2時間が経過。棒高跳ピッチには向かい風が吹いてきた。「良くない風周り」(監督)。応援にかけつけた同志社勢も、ただ風向きを見守った。バーの高さは「3㍍80」、ようやく女王が現れた。残る挑戦者もわずか2名。我孫子の優勝へのカウントダウンが始まった。ポールとの相性を確かめると、いざ第一試技へ。一度は失敗するも、なんなくバーは4㍍まで上がった。3連覇のかかった一本。緊迫した雰囲気に会場が静まりかえった。一直線にバーに向かって、走り出す我孫子。勢いのついた突っ込みで、美しくしなった八頭身は宙を舞った。マットに降り立つもなお、物音も立てず静止するバー。勢いよく白旗が上がった。続く4㍍20には及ばぬものの、4㍍10は成功させ、大会新記録で優勝。自然と沸き起こった拍手喝采に、女王はピースサインで答えた。

世界を視野に

 来年に控えたベルリン世界選手権大会。北京オリンピックでのワールドレコード更新により世界B標準記録は来季より5㌢高い、4㍍35になる。しかし、「イシンバヤワが跳ぼうが関係ない。自分が追いついていくしかないのだから」。強気で世界に挑む我孫子の姿はたくましい。世界選手権、そしてゆくゆくはロンドンオリンピックへ。我孫子、空への挑戦は果てしなく続く。(岩野真優子)


メッセージ
荻田→我孫子
我孫子→荻田

ロンドン五輪について

 2012年、ロンドンで第30回夏季オリンピックが開催される。日本は過去2回行われたロンドンオリンピックには参加していないため、今回が初参加となる。陸上競技はオリンピックスタジアムで開催される予定。

記者の目
記者の目(関学)
記者の目(同大)
 大学に入学してからの約2年半。私は、空高く舞う荻田の姿を、スタンドからレンズ越しにとらえていた。

 彼は、助走や踏み切り、空中動作など改善を重ねている。いろんなものを吸収していく中、理想としている形は年々変化しているという。そんな努力家の彼がつかめなかった、今年の北京オリンピックへの切符。悔しい思いもあったが、彼の目はすでに4年後に向いていた。「ロンドンオリンピック」。彼の口からこの言葉が出たとき、嬉しさと、また、鳥肌が立つような興奮を覚えた。彼はどこまで成長するのだろうか。次は、世界を舞台に大きく舞う彼の姿を、関学スポーツ記者としてではなく「日本人」としてテレビ越しに見ることになるかもしれない。

 彼女に出会ったのは1年生の春。学科の説明会で、前後に座っていた私たちは自然と仲良くなった。私は、アトム編集局部、彼女は陸上部へ入部。日常では友達として、試合では偉大な選手として、日本全国での試合に同行し、取材を重ねてきた。

 彼女を追いかけて早2年。当初は期待のルーキーも、立派なボウルターへと成長している。4年後のロンドンでは、織田裕治「キター!」なんて叫ばれているのだろうか。そう考えるだけでわくわくする。

 我孫子と時間を共有できる「今」という大切な時間。偉大な人物の情報発信源となれれば私の幸いである。そして、日本全土に彼女の名が知れ渡る日を楽しみにしている。和製イシンバエワという異名とともに。



最後に
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(企画・取材・制作:「関学スポーツ」陸上競技部担当/協力:「同志社スポーツアトム」陸上競技部担当)