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190号1面より(2006/4/3発行) スケート部
関西3連覇 梅谷

 無我の境地で氷上に舞い降りた関西の女王。今季最終戦、スケート部不動のエース・梅谷友紀(商4)が関西3連覇を成し遂げた。「これまでで一番頑張った一年」。自分との戦いに打ち克ち、自己最高の成績を残す結実のシーズンとなった。
激闘のシーズン

 「優勝は意識せず、自分が今できる演技をしよう」。3連覇をかけた今季最終戦を前に、リンクサイドの梅谷は普段通りリラックスしていた。

 振り返ると波乱のシーズンだった。充実した昨季より、さらなる活躍が期待されていた梅谷。しかし昨年7月、悲劇が彼女を襲う。右足首のじん帯断裂。選手生命にかかわる大けがを負うも、シーズンを目前にして梅谷に迷いはなかった。わずか2週間での練習再開。激痛との闘いの中で彼女の今季は始まった。

 初戦の近畿選手権は懸命の調整が実り優勝。続く関西インカレでは痛みがピークに達する中、他選手とは別格の演技を披露する。結果、個人2連覇を達成した。そしてトリノ五輪代表の最終選考会を兼ねた全日本選手権。梅谷は会心の演技を見せ、自己最高の11位という成績を収める。それは苦しい一年が実を結んだ瞬間だった。さらに1月の冬季国体でも4位入賞を果たす。悪夢から始まった今季は、梅谷にとって飛躍のシーズンへと変貌していた。そして今季最終戦となるのが今大会。一昨年、昨年はともに圧勝だった。特に、一昨年は初の関西制覇を果たした思い出深い試合だ。

 1部女子の演技が始まると、関大の新星・平井が1番滑走ながら高得点をたたき出す。そして3番目に梅谷が登場。金色の刺しゅうが印象的な衣装に身を包み、彼女はリンクに立った。中央でポーズを決め、ゆっくりと滑り出す。選んだ曲は「プリンス・オブ・エジプト」。昨季から滑り込んできた思い入れのある音楽だ。まずは最初のコンビネーションジャンプをクリア。練習滑走で乱れていたジャンプを見事に修正した。「絶対に決める」と意気込んだトリプルサルコウも美しく着氷する。序盤は、彼女らしいダイナミックなジャンプを審判員にアピールした。中盤には多彩なスピンで観客を魅了。またリンクを大きく使ったスパイラルでは、壮大なエジプトの世界を醸し出した。疲れの出る終盤も、梅谷の勢いが衰えることはない。3回転でバランスを崩す場面はあったが、曲の盛り上がりとともに軽やかなステップで氷上を舞った。最後のダブルアクセルを決めると、高速スピンで4分間の演技を締めくくった。

 結果は平井を僅差でかわし、優勝。審判員全員が梅谷に最高得点をつける文句なしの勝利だった。試合後、「自分らしく滑れた」と彼女は演技を振り返る。難易度を上げて挑んだ10回のジャンプはすべて成功。課題だった表現力でも、観客を自らの世界へ引き込む力をつけていた。「けががあったからこそ強くなれた」。今季、神髄を極めた関西の女王は氷上でひときわ輝きを放った。

有終の舞目指して

 今年2月に行われたトリノ冬季五輪。フィギュアスケート女子・荒川静香(プリンスホテル)が金メダルを獲得し、日本は大きく沸いた。人気・実力ともに世界屈指のレベルを誇る日本のフィギュアスケート界。4歳からスケートを始めた梅谷はその第一線で活躍し続けている。そんな梅谷もこれまでに幾多のけがやスランプに見舞われ、スケートから離れた時期さえある。しかし辛いとき彼女を救ったのもまた、スケートだった。すでに来年の大学卒業とともに、現役引退を決意している梅谷。波乱万丈だった彼女の競技生活もあと一年で終わりを迎える。18年にわたるスケート人生の集大成―。来季、輝く銀盤の上には一人のスケーター「梅谷友紀」の物語を演じ切った彼女の姿があるはずだ。(福島早知子)

◆プロフィル◆
梅谷友紀(うめだ・ゆうき) 商4。S59・6・23。姫路出身。4歳からスケートを始め、中学時には全国大会優勝を経験。趣味は映画鑑賞と読書。座右の銘は「継続は力なり」